子育て中の社会人が予備試験と司法試験に一発合格するまでのお話

令和4年予備試験合格、令和5年司法試験合格。0歳児を育てながら独学で短期合格した体験を残すブログ

予備試験に合格するための勉強法【全体編2】

前回の記事では、司法試験や予備試験の勉強における目標について、大きく①時間無制限かつ教科書•判例集を参照してよければそれなりの答案が書ける段階と、②試験本番と同様の条件でそれなりの答案が書けること段階の2段階に分かれるというお話をしました。

 

今回は、①の段階に向けて私が行った勉強法をご紹介します。

 

まず、私の勉強履歴を紹介します。

【勉強履歴】

令和3年7月 予備試験受験を決意。とりあえず芦部憲法判例六法を買う。この時点で、商法•民訴•刑訴は全く勉強したことがない白紙状態、その他の科目も選択科目を除き10年近く勉強していない状態からスタート。

7月〜8月 各基本書を通読(使用した本についてはまた紹介する記事を書くつもりです。)

9月〜10月 判例六法を参照しながら、演習書の問題を解く。途中で予備試験過去問に一年分挑戦。合格者答案を見つつ、目指すべきレベルを確認。なおこの時点では選択科目は未着手。

(↑ここまでが①の段階)

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11月〜12月 予備試験論文過去問を1科目70分の時間制限にて、司法試験用法文以外参照することなく、本番と同じフォーマットの答案用紙にて解く。

令和4年1月 判例六法を各科目ごとに通読。

2月〜4月 短答過去問

5月 予備試験短答。短答後、新司法試験の過去問。選択科目(国際公法)の対策もここから。

(↑ここまでが②の段階)

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7月 予備試験論文

(8月に息子誕生、その後育児に追われ勉強ノータッチ)

10月 論文合格。口述対策

11月 予備試験口述。予備試験最終合格

(年明けまで家庭最優先、勉強ノータッチ)

令和5年1月〜6月 司法試験論文過去問。

6月 短答過去問

7月 司法試験

11月 司法試験合格

 

 

ここで重要なのは、①の段階から演習書を通じてアウトプットの練習をしていたことです。もちろん、知識の定着の方法は人によって様々ですが、私の場合、全くの初学だった商法、民訴、刑訴を含め、まずは判例六法片手に演習書の問題を解き、何が論点となるのか、どういう議論があるのか、下級審裁判例含め参考になる判例はあるかということを考えながら、答案らしいものを書いていました。

今振り返ってみれば、これらの演習書も結局有名判例をベースに作成されているため、これを解く過程を通じて主体的に頭と手を使いながら判例の理解を進めていたということだと思います。私の場合、判例を読むだけでは今一つ重要性や意味が掴めなかったため、このように強制的に自分ごとにすることが、判例やそもそもの条文の理解に必要なプロセスだったと思っています。

もちろん、この時点では①の段階には達しておらず、したがって判例六法をひいたとしても全く出来のいい答案にはなりませんでした。

特に民訴はなかなか理解の難しい科目だと思いますが、何が問題かもわからず、答えを見てもまだ全く理解できていないという体たらく。

それでも一応答案にした数を数えてみると、この段階で、憲法20、行政法10、民法5(旧法の問題)、商法50、民訴25、刑法30、刑訴20で合計160問でした。もちろん実際の試験問題より一つ一つは短く、要する時間も短いのですが、とにかくこれだけ書いてみると最後の方にはそれなりの形にはなってきたのかなと思います。そして、これを通じて、何となくの答案の書き方を掴めるようになりました。

 

 

 

 

予備試験に合格するための勉強法【全体編1】

ここからは、予備試験と司法試験に、働きながらも独学で一発合格できた私の勉強法をご紹介していきたいと思います。

 

私の勉強法における仮説として、予備試験•司法試験の特に論文試験の能力については、①時間無制限かつ教科書•判例集を参照してよければそれなりの答案が書ける段階と、②試験本番と同様の条件でそれなりの答案が書ける段階の2段階に分かれると考えています。

まずは①を目指して大枠の理解、法制度の全体像や対立する価値観といった基本的な事項を掴む。さらにいえば、①には相手に分かる日本語を書くということや、いわゆる法的三段論法に従って議論するということ、あるいはそれ以前の問題ですが、条文や問題文といったテキストをちゃんと読むといったことも、含まれると思います。

そして、その中で覚えるべき判例や学説の範囲が見えてくるので、その後②の段階に移行するということです。この段階では暗記の重要性は上がりますが、闇雲な暗記ではなく全体像を踏まえたものなので負担は比較的小さいかと思います。

社会人の場合、①までのハードルは思いの外低いのではないでしょうか。仕事のメール含め、何かの文章をしっかり理解して読むこと、そしてそれへの応答として相手方に伝わる文章を作成することの重要性は、学生の頃とは大違いです。さらに、何らかの形で法律に関する仕事に携わっていれば、専門性のある各分野におけるものとはいえ、法的三段論法を使うことはできているでしょうし、①の素地は十分だと思います。

実際、①の素地があったからこそ、効率よく②に向けての暗記や時間内の答案作成といった段階に進むことができましたし、大学生の頃はこの①の素地、あるいは素地の素地、を欠いていたがゆえ、法律が楽しくなかったんだろあと思っています。

次回以降は、この仮説を前提として、各段階での勉強法についてご紹介します。

 

予備試験と司法試験の成績通知

私は令和4年の予備試験と令和5年の司法試験について、それぞれ成績通知書を載せておきます。

 

【予備試験】

短答:226点、順位3位

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論文: 283.07点、153位

憲法F、行政法E、民法C、商法E、民訴B、刑法A、刑訴A、選択(国際公法)A、実務A

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口述:122点、18位

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【司法試験】

短答:160点、21位

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全体:994.65点、299位

憲法(公法1問目)A、行政法(公法2問目)A、民法(民事1問目)A、商法(民事2問目)B、民訴(民事3問目)C、刑法(刑事1問目)B、刑訴(刑事2問目)B、選択(国際公法)73点

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短答は予備•司法ともに望外の出来でした。論文でもそれなりの成績をいただけたものの、大きく失点している科目もあり、短答の成績が実力相応ではないことは見ていただければわかるのではと思います。

論文の科目ごとの成績をみると、予備で失点した公法系は司法ではそれなりに取り返し、他方で予備で得点源とできた刑事系は司法では微妙と、結果的には絶妙なバランスの出来でした笑

いうまでもないことですが、特に私の予備試験のようなAかE•Fかというバランスの悪い成績は、受験戦略上よろしくなく、決して積極的に目指すべきものではありません。

他方、苦手があっても得意なところで挽回できれば実は結果的にはなんとかなる、というイメージを掴んでいただければ、合格を目指す上でも皆さんのご参考になるのではとも思い、こちらで公表することとしました。

次回以降、全体的な勉強の進め方や科目ごとに取り組んだことをご紹介していきます。

 

はじめに

はじめまして。

私は、社会人としてフルタイムで仕事を続けながら、令和4年度の予備試験•令和5年の司法試験に、いずれも、予備校を使うことなく独学で、短期間で一発合格することができました!

しかも、その間、第一子が生まれ、夜も眠れない日々が続いたりとなかなかハードな受験生活だったのではないかなと思っています。

そんな中でどのように勉強を進めたのか、どんな教材を使用したのか、何を気をつけたのか、反省点は何かと言ったことをまとめるのがこのブログの趣旨です。

司法試験•予備試験に興味はあるけど今一つ踏ん切りがつかない方、働きながらの受験は無理だと諦めている方に、少しでもお役に立てればと思います。